九段の滝

石空川渓谷】 山梨県の滝・北杜市


 観瀑台からの眺め


 観瀑台からは、この場所を訪問する最大の目的である「精進ケ滝」、その下に「九段の滝」見えます。

 全景が見えないこともあり「精進ケ滝」のオマケのような存在なのだが、それは大きな間違いです。何故なら、滝壺からの眺めは観瀑台とは全く異なる別世界、オマケどころか百選級とも思えるほど素晴らしい滝だから。

 少し大袈裟かもしれませんが、もし、上流に精進ケ滝がなければ、この滝が百選に選ばれても・・・?

 滝前は非常に開けていて開放感タップリ、幅があることに加えて水の描き出す軌跡が実に趣深い。水の透明度も抜群、南国のような砂浜から見上げる滝は、一度観たら決して忘れないであろう面持ちです。

 九段の滝、それは観瀑台からの印象とは全く異なる見事な滝、更に滝前、そこは何時間でも佇んでいたいと感じる、素晴らしい空間が広がっていました。



滝巡りの話 第7話 「 戒め 」


十字架 九段の滝の思い出といば、十字架

 北精進ケ滝の正規展望台から更に先に進むと、一気に開けた空間が目の前に広がり、正面には強烈な滝が姿を現す。その圧倒的な存在感を前に、誰もが足を止めて見入ってしまうであろう、それが『九段の滝』

 滝口から水の流れを追うように視線を落としていくと、予想外の物が目に入りピタリと止まる。遠目からでも何となく十字架らしきものが・・・。

 恐る恐る近付くと、滝壺の中洲に山が盛られ、木の枝が草で十字に固定されている。自然に出来た可能性を完全には否定できないが、おそらく人の手で作られ、それもごく最近の物と思われた。というのも滝壺の中洲、水量が増せばすぐに流されてしまう場所だからである。

 そんな場所に設置されていた十字架、それは訪問者に対して何らかの注意を喚起させるための指標でないことは明らかだが、この出会いは訪問時の我が身を守ってくれただけでなく、今もなお滝巡りにおける大きな『戒め』となっている。


 私がこの場所を訪問した最大の目的は先にある北精進ケ滝、しかし滝直下へのルートがわからず立ち往生、とりあえず行ける所までと左岸(滝に向かって右側)を登っていた。まだ先に行けそうかなと思いながら、ふと滝壺を見下ろすと十字架が目に入った。一瞬何ともいえない感覚が全身を駆け抜けていくと伴に、「先に進んではいけない」と警告を受けたような気がした。ちなみに掲載映像の最後の部分がその場所で撮影したものである。

 その場は三脚を広げるスペースはなく手持ちのコンパクトカメラで映像を数秒撮影、すぐに安全な場所まで下り、先程立っていた辺りを見上げてみる。行けそうだと思っていた場所が危険に思えた。更にその先を見ると、私のレベルで足を踏み入れる場所でないことは明白だった。おそらく諦めきれない気持ちが強かったのだろう、冷静さを失い注意力が散漫になっていたと反省である。もし、あの時思い留まることなく先へ進んでいたら・・・。

 明らかに危険であれば更に先に進もうとは誰も思わない、しかし「何となく行けそうだな」と思った時、また「そんな気すら起きない場所」にこそ、大きな危険が潜んでいることを改めて痛感させられる出来事であった。

再訪時 あの出会いから一年後の同じ時期に再訪、北精進ケ滝滝壺に辿り着いた帰路のことである。前回よりも水量が増し、更に美しい姿で出迎えてくれた。
(← 画像が再訪時)

 不安ながらもあの時と同じように視線を移動させてみたが、この時は一度も止まることはなかった。滝壺の様子は変化しており、当時あった中洲がそこにはなかった。

 改めてゆっくりと滝壺を見回し、水の流れに逆いながら滝口へと視線を戻す。絶え間なく降り注ぐ風が心地良かった。

 あの出会いから数年が経過した今でも、滝巡り最中、またそれ以外でも、ふと「なぜ、あの場所に十字架が?」と思うことがある。

 正直、思ったところでその意味は永遠に分からないであろう。しかしながら、それが如何なる理由であったにせよ、私にとっては危険に対する意識を高めてくれた非常に貴重な出会いであり、強烈な「戒め」として心に刻まれている。


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 【!注意!】

 正規の遊歩道はありません。一般的には、立ち入らないほうが無難
 訪問される場合、全て自己責任、かつ十分な安全確保をお願いします。



【アクセス情報】

 滝見駐車場は広く、20台前後は停められる広さがあります。駐車場からは遊歩道が整備されていますが、後半は遊歩道というよりは、川沿いを登っていくような感じです。遊歩道入口からは滝見台までは大体40分から1時間程度。途中には3つの滝(一の滝二の滝三の滝)があり、飽きるような道のりではなく、あまり時間は気にならないのではないでしょうか?むしろ途中で他の滝を眺めていたら、1時間以上はかかってしまうと思います。

 観瀑台までは遊歩道が整備されていますが、観光滝ではないので、滑りやすい靴は論外です。
 九段の滝壺へは観瀑台から先、岩場を下り沢を渡渉、更に先へ進むと一気に視界が開け滝前へ。
 渡渉の際、場合により足が濡れます。増水時は非常に危険です。
 改めて注意しておきますが、遊歩道は存在しませんので、常に慎重に行動する必要があります。



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