黒鍋の淵

福島県の滝・いわき市

黒鍋の淵(背戸峨廊)黒鍋の淵

 落差は20m前後、末広がりに加えて豊富な水量も相まって見応えがあります。このような滝は見る角度によって全く異なる形に見えるので、眺めていて非常に楽しめます。滝壺も浅いながら非常に大きいのが印象的です。

 いつもながら画像だと滝の規模がわかり難いかもしれませんが、下の画像の滝口付近に梯子が見えると思います。人工物なので少しお邪魔なのですが、比較対象として滝の規模を感じていただけるのではないでしょうか。

 この付近で滑落事故が多発しているという注意看板がありました。確かに左岸側から滲みだした水が遊歩道を湿らせている事に加えて、滝側に傾斜していて滑りやすいです。注意していれば特別危険とは感じませんでしたが、滝に見とれていると足下への注意が疎かになりがちですのでご注意ください。

【アクセス情報】

   トッカケの滝参照


 滝巡りの話  第6話 「印象への影響力」


 滝巡りに限らず、旅の楽しみの一つが人との出会い、それにより思い出が良くも悪くも深いものとなる。

《頂いた手作りの地図》クリックで拡大画像へ

 最初の出会いは黒鍋の淵、心掛けている事 ( 第1話 参照 )を忘れる程(苦笑)撮影に熱中していると、背後から気持ちの良い挨拶、振り返れば爽やかな笑顔の男性が一人。

 挨拶後の何気ない会話の中にも何処か親しみを感じ、それだけで十分思い出に残る出会いとなったが、更に深くしたのがその後、別れ際に何気なく地図を差し出し「どうぞ、これ使って下さい」と、私は「大切な地図を頂くのは・・・」と言うと、「何度も来ているから大丈夫」とのこと。

 少し申し訳ない思いつつも、有難く頂くことにした。その時の地図、滝の位置が明確に記載された手作りのものだ。 その人は「良い写真が撮影できるといいですね」と嬉しい言葉を残し、軽快な足取りで去って行く。

不思議なことに、この時感謝とは別に気持の変化を感じていた。既に終盤が近いとはいえ、遊歩道入口で目にした「行方不明者の情報提供要請看板」も気になる上に、初めての背戸峨廊、単独訪問、不測の事態が起きた場合には先へ行くにも引き返すにも一番厄介な渓谷最深部、緊張と疲労、先の道程と帰路の不安も感じていた。しかし、この人との出会いのお陰で、抱いていた不安は一気に解消され非常に気持ちが楽になった。

 フィナーレを飾る三連の滝を眺めた後帰路へと向かう途中、再会の時が訪れる。正直、最初の出会いから大分時間が過ぎており、再会など全く考えていない私には感動(相手からすれば、想定内の再会)だ。見れば何やら作業をしている様子、実は私が想像していた背戸峨廊好きどころか、『福島県野生動植物保護サポーター』であった。

福島県野生動植物保護サポーター

 話を聞けば、毎週、それも週に何度も足を運び、背戸峨廊を訪れる人が安全に楽しめるように遊歩道の様々な整備に携わっているという。

 出会った際も木のベンチ(三連の滝の後にある急な坂を登りきった場所)を製作中、その作業をしつつも私が安全に辿り着くように注意を払ってくれていたはず。更に別れ際、下山情報を丁寧に教えて頂き至れり尽くせり、下山時の遊歩道も草が綺麗に刈り取られ、駐車場まで安心して歩くことが出来、感謝の気持ちで一杯である。

 背戸峨廊には強烈な印象を与えてくれる大瀑級の滝は存在しない、しかし、数多くの滝と独特な雰囲気が漂い、全体として見応え在る素晴らしい場所、更に楽しく有意義な一日だったという非常に強い好印象をもっている。

ただ、そこで感じるのは、渓谷の雰囲気等には十分満足しつつも、それだけで強い好印象に至るとも思えない。それならば何故?

 やはり、「あの日、あの時、あの場所で、あのサポーターとの出会いがあったからこそ」 そう思えてならない。


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