三連の滝(背戸峨廊)
福島県の滝・いわき市
背戸峨廊滝群を巡る遊歩道のフィナーレを飾るのが三連の滝です。
名前から推察すると三段のようですが、実際に見られるのは最下段のみです。他の滝が岩肌を滑るように流れ落ちているのに対して、この滝は少し幅のある滝口から真下に向かって勢い良く流れ落ちています。
落差は約25m、太陽の光に照らされ水の一粒一粒がキラキラと輝きながら流れ落ちる姿は、まるでここまで期待と不安ながらに進んできた者に対する犒いをも感じさせてくれます。
大瀑ではありませんが、迸る水飛沫の美しさに最後の滝に辿り着いた安堵感もあってか、時の流れを忘れて見入ってしまいました。
改めてここまでの道程を思い返しながら1時間弱程この滝を眺め、背戸峨廊の余韻に浸りつつその場を後にしました。 この滝からは急な登りが続き、その先には少し広くなった休憩スペースがあります。そのスペースに辿り着くと、黒鍋の淵で地図を頂いた方に再会。毎週訪れているということで、余程背戸峨廊が好きなのかと思いきや、な!なんと「福島県野生動植物保護サポーター」をされているとのことで納得。当日も野生動植物保護と自然環境保全活動に加えて、登山道の整備及び、登山者のための木の椅子を製作されていました。ボランティアなので当然無償での作業であり、このような方の献身的な活動のおかげで私のような者が安心して滝巡りできるのだと感謝の気持ちで一杯です。 ご本人の許可をいただいておりますので、背後からの作業現場を掲載させていただくともに、この場をお借りして、改めて厚く御礼申し上げます。 最後に下山道ですが、「早回りコース(2700m)」と「ゆったりコース(3700m)」があります。 案内板のピンク色で描かれた道が「ゆったりコース(3700m)」、後から書き加えられたような黒い道が「早回りコース(2700m)」になります。お会いした福島県野生動植物保護サポーターの話によると、どちらも時間的には全く変わらず1時間前後ということでした。「早回りコース」は距離が短い分傾斜があるということです。 サポーターとの会話中に別の単独登山者と合流、色々な会話の後その登山者とは別れてその後も10分程サポータと会話をして私も下山することに。先に行った単独登山者がどちらのコースを選択されたのかわかりませんでしたが、多分「早回りコース」を選択したと予想し、本当にどちらも時間的に変わりないのかを探ろうと、私はあえて「ゆったりコース」を選択しました。 「ゆったりコース」はその名のとおり良く整備され傾斜も緩やかで歩き易く、早歩きで下山し誰とも出会わずに約45分程で駐車場に到着。もしかしたら「早回りコース」のほうがもっと早かったのかもしれないと思いながら駐車場で一休みしていると、先程別れた単独登山者が下りて来ました。ということで、個人差等を考えると結局どちらが早いのか良くわかりません。1000mの距離差については訪問される方のご判断にお任せいたします。 ただ、毎週訪問されているサポーターの意見が一番正しいと思われるので(何度試しても変わらなかったそうです)、何となく「早回りコース」のほうが早い気がするのですが、結局どちらも大きな差はないと考えられ、各々の疲労度を勘案され怪我のないよう心がける事こそ一番早く駐車場に辿り着く最善の方法ではないでしょうか。 【 アクセス等 】 県道41号線(JR磐越東線江田駅付近)⇒ 背戸峨廊入口
案内板 全コース8.4km、標準タイムが4時間半、私は撮影及び途中出会った方との会話を含め予定を大幅にオーバーの8時間程度かかりました。 観瀑及び撮影に時間をかけなければ5時間弱と思われますが、梯子や鎖場が頻繁にあり、危険箇所も多いので余裕をもって行動する必要があります。感覚としては登山道というよりも、必要最低限に抑えた梯子や鎖など少し手の加わった沢登りといった感じで、場合によっては足元が濡れます。岩を掴みながらの進む場所もあり軍手等用意されるといいと思います。 全体を通して山登り初心者な私が問題なく進めましたので、特別厳しい行程ではありません。ただし、気を許せば危険と思われる箇所は無数に存在し、安易な行動は禁物。 ということで、背戸峨廊滝群はお手軽な滝ではありませんし強烈な規模の滝はありませんが、個性溢れる無数の見事な滝と深山幽谷の雰囲気が漂う渓谷美が随所に感じられ、個々の滝ではなく渓谷全体が訪れた者に強烈な印象を与えてくれることでしょう。 地図上のマークは背戸峨廊入口付近です。 |